先ほどご紹介した内容の中にも出てきた、「コニャック」「アルマニャック」などブランデーには様々な種類があります。その意味合いは、産地と言うこともご紹介させていただきましたが、それ以外の産地の物は、どのように呼ばれるかご存知ですか?中には、名前ではコニャックやアルマニャックと書かれているけど本当にそこが産地なの?など思われたかもしれません。
まず、コニャックやアルマニャックと称して良いのは、その場所で生産されたものに限ります。
これは、フランスの法律ですでに定められています。なので、同じフランスと言う国から生産されても場所が違えばコニャックやアルマニャックとは名乗れません。
ブランデーは、主に白ブドウや他のフルーツから造られますが、こちらも定められており、コニャックやアルマニャックの原料は白ブドウでなければならないので、同じ場所で製造されても原料が違えばそれもまた、名乗ることができません。製造方法も同じです。こちらも規定があり、定められています。その為、コニャックやアルマニャック以外のフランス産のブランデー(フルーツブランデー含む)は、フレンチブランデーとなります。
ランクの基準もコニャックとアルマニャック、その他のブランデーと異なります。スリースター→V.S.→V.S.O.P→ナポレオン→X.O.と言う順で熟成年数が長くなると言うことはご紹介しましたが、実はこちらの熟成年数もブランデーごとに異なります。
「コント」と言う言葉をご存知でしょうか?「コント」と言うのは、熟成年数を表す単位です。蒸留した年はコント00となり翌年の樽熟成1年目がコント0、2年目がコント1、3年目がコント2、4年目がコント3・・・となります。
コニャックの基準ですと、スリースターがコント2以上、V.S.がコント2以上(およそ4~7年)、V.S.O.Pがコント4以上(およそ7~10年)、ナポレオンがコント6以上(およそ12~15年)、X.O.がコント6以上(およそ20~25年)になります。コニャックには、X.O.より質が高い物に関してはHors d’âgeとランク付けされます。正解最高級のコニャック「ヘンリー4世」は、ここに位置付けられます。
アルマニャックの場合は、スリースターがコント1以上、V.S.がコント2以上、V.O.がコント4以上、V.S.O.Pがコント4以上(およそ5年~10年)、ナポレオンがコント5以上(およそ5年~12年)、X.O.がコント5以上(およそ20~30年)です。
それ以外のブランデーに関しましては、基準が異なりますので上記の熟成年数は当てはまりません。
今までの基準ですとコント6以上は存在しませんでしたが、2018年4月1日からコニャックのX.O.の基準が改定され、2018年4月1日以降に出荷されるコニャックX.O.はコント10に改定されます。
次に使用されるブドウや製法の違いです。コニャックで使用を認められているブドウは、ユニ・ブラン、コロンバール、フォリ・ブランシュです。10%未満であれば、フォリニャン、モンティル、セミヨン、ジュランソン・ブラン、セレクト、メスリエ・サン=フランソワも使用することが出来ます。銅製のポットスチルで単式蒸留を2回し、オーク樽で樽熟成2年以上行ったものがコニャックになります。
アルマニャックは、ユニ・ブラン、フォル・ブランシュ、コロンバールなどを含めた10種のブドウを使用することが認められていますが、アルマニャックのほとんどがユニ・ブランを使用しています。
アルマニャックは、最古のブランデーとして知られているように伝統的な製法で作られます。半連続式蒸留で造られるため、95%以上は時間をかけてゆっくり1度の蒸留で作り上げられます。
双方、伝統と品質を守るために厳しい規定が定められています。
それでは、コニャック・アルマニャック以外のブランデーも紹介したいと思います。フレンチブランデーで有名なのが、りんごを使用したフルーツブランデー「カルヴァドス」です。フランスにあるノルマンディー産のりんごを使用したブランデーです。カルヴァドスもまた、ノルマンディー地方以外で造られた場合カルヴァドスと名乗ることが出来ません。主原料はりんごですが、西洋梨も使用されることもあります。
他には、ペルー原産のブドウ果汁を蒸留した「ピスコ」やぶどうの搾りかすを使用した「ポマースブランデー」、リキュールや製菓にも使用される「キルシュ」や「フランボワーズ」、「スリヴォヴィッツ」など紹介しきれないほどの種類があり、生産国によっても様々な呼び方で呼ばれます。なので、もしブランデーが苦手と思われている方がいれば、自分の好みの味に出会っていないだけかもしれませんね。