ワイン用語 カース

カースとは、ワインの透明性が失われるアクシデント。
このアクシデントは、酸化や還元によって生じる。主に、ワインがコロイド状に変質し、鉄や銅、プロテインなどが沈殿するためにワインが濁ってしまうことを指す。
カースは、原因となる成分により、呼び方が異なる。

カース・ブランシュ(casse blanche)は、リン酸第二鉄が原因成分。白ワインがオパールのような光沢を帯び、灰青色の沈殿が生じる。

カース・キュウイヴルーズ(casse cuivreuse)は、硫化銅が原因成分。還元状態に置かれた銅を含む白ワインで褐赤色の沈殿物を生じる。

カース・ブリュンヌ(casse brune)は、酵素作用が原因。ぶどうに備わっている酸化酵素の作用で、赤や白のワインが空気にさらされた時に起こる。焦げ臭さや苦味が生じる。

ワイン用語 オロロソ

オロロソ(Oloroso)とは、シェリーの種類の1つ。
シェリーは、スペイン南部のアンダルシア州カディス県ヘレス市とその周辺でつくられているフォーティファイドワイン。世界3大フォーティファイドワインの1つに数えられる。

シェリーは、「フィノ」「マンサニージャ」「アモンティリャード」「オロロソ」の4種類に大きく分けられる。
いずれもパロミノ種というぶどうを使用しており、発酵前までの工程もまったく同じ。しかし、気候や添加するアルコールの量などの違いで、色や味わいが異なる。

フィノは、発酵時に酵母に覆われ、あまり空気に触れない。そのため、色は透明で、独特の風味を持つ。

マンサニージャは、サンルーカル・デ・バラメダという町でのみつくられるフィノタイプのシェリー。

アモンティリャードは、フィノに存在する酵母が無くなった、あるいは意図的に無くしたシェリー。フィノより空気に触れる時間が長いことから、酸化熟成が進み琥珀色や褐色をしている。

オロロソは、発酵の過程で酵母が発生しなかった、あるいは人為的に酵母を付けなかったシェリー。常に空気に触れているため、酸化熟成され、琥珀色や褐色をしている。

ワイン用語 オリ(澱)

オリ(澱)とは、ワインに含まれるタンパク質色素で、長く熟成された赤ワインの年代物などに多く見られる沈殿物のこと。

渋みの成分であるタンニンやポリフェノール類、色素成分であるアントシアニンなどが混ざり、時間が経つにつれて結晶化したものだ。

オリ(澱)自体を口に含んでも健康上の問題を及ぼすことは無いが、舌でざらつきや酸味、苦みを感じることで、ワインの風味やのど越しが損なわれるとされている。

ワインボトルの底が盛り上がった形をしているのは、このくぼみを囲む周りの部分にオリ(澱)沈殿させ、ボトル内にオリ(澱)が舞うのを防ぐための対策なのだ。

白ワインにオリ(澱)ができる場合、赤ワインのような色素成分ではなく、主に酒石酸とミネラル成分が結晶化したものを指す。

ワイン用語 オスピス・ド・ボーヌ

オスピス・ド・ボーヌ(Hospices de Beaune)とは、1859年から続いているワインのチャリティーオークションのこと。

もともとは、フランス・ブルゴーニュのボーヌにある慈善施療院、1443年に設立された病院を指す言葉だという。

同病院は、中世から20世紀の半ばまでは恵まれない貧しい人々に医療サービスを施していた。それが近隣の貴族などからぶどう畑を寄進され、同畑から生まれたワインの売上が、オスピス・ド・ボーヌを支えるようになったという。

オスピス・ド・ボーヌのオークションは、毎年11月の第3日曜日に開催されており、その落札価格はその年のブルゴーニュワイン全体の取引価格に強い影響力を持つとされる。

ボトル売買では無く、樽単位でワインが売買されるのが特徴。樽を落札した落札者が委託したネゴシアンにより、樽熟成から瓶詰めまで管理される。

ワイン用語 オイリーなワイン

オイリーなワインとは、ワインの味わいを示す表現のこと。「なめらか」などと同様の意味を持っており、豊かさや心地よさなど、良い意味合いで使われている。

ワインの味を表現する時には「厚みがあってオイリー」「やわらかでオイリーな香り」「オイリーな口当たりを舌の中心で感じる」など、質感や香り、舌触りなど、さまざまな表現と合わせて使用される。

また、そのワインの香りを表現する時などに「オイリーな雰囲気」などと表現する場合もある。そのほとんどがポジティブな意味合いで使用されている。

ぶどう品種の個性を表す時にも使われることがあり、一般的にはセミヨンやヴィオニエなどが「オイリー」と言われている。

ワイン用語 オーク樽

ヨーロッパのオークで有名なのがフランスのリムザンオーク、アリエオーク、アリエオークの一種のトロンセオークです。リムザンオークは年輪の粗さがあるため空気を通しやすく、ブランデーなど熟成酸素が多量に必要な場合は好んで利用されています。

リムザンオークはタンニン含有量が多いため、ワインを熟成させる場合は新樽から1年以内に古樽へ移すのが一般的なようです。新樽を数ヶ月、古樽で数年という説明書きのあるワインがたまにありますが、こういった理由があるのです。

また、アリエオークとトロンセオークは木目が細かく、酸素の流通が緩やかです。ワインを長期熟成させるにはもってこいのオーク材とも言われており、アリエオークの上質な新樽はボルドー1級の高級ワインなどの熟成に好んで用いられています。

ワイン用語 エッジ

エッジ(Edge)とは、ワインの液面の縁の部分を表す用語のこと。ワインの詳細な情報を知る上で、エッジを読み取ることは、非常に重要だと言われている。

一般的には、ワインの色合いや透明度、濃淡などがエッジ(縁部分)で判断される。ワインのエッジには、ワインの色が繊細に現れるため、ワインに用いられているぶどうの品種をはじめ、セパージュ(ぶどうをブレンドしたもの)などを確認することができる。

ぶどうの種類によっては、熟成が進んでいる場合にはエッジの色合いが変化していくため、熟成度合いなど判断基準ともなる。

白ワインの場合、グラスの縁が緑味がかっているほど若く、オレンジ色に近づくにつれて熟成していることが読み取れる。また、赤ワインの場合、縁が紫がかっているほど若く、オレンジ色に近いほど熟成していることとなる。

ワイン用語 エチケット

エチケット(etiquette)とは、ワインのボトルに貼られているワインラベルのこと。フランス語の「etiquette」が由来している。

ワインのエチケットには、ワインの銘柄や名称、収穫年、ワインの用量、瓶詰め元の名称、所在地、アルコール度数、原産国、格付けランクなどの情報が表記されている。

エチケットは、ワインの身分証明書などとも言われており、そのワインの情報を知るために、非常に重要な役割を果たしている。

エチケットの記載内容は国ごとに違っているが、一般的には銘柄や名称などは目立つように大きな文字で表記されることが多い。

ボルドー地方の場合、ワイン醸造所のことをシャトーと表記するが、ブルゴーニュ地方における醸造所はドメーヌと表記されるなど、一目でどの地方のワインなのかを見極める手掛かりともなっている。

ワイン用語 エストゥファ

エストゥファ(Estufa)とは、ポルトガルのフォーティファイドワイン「マデイラ」の製造過程で行われる加熱処理で使用される容器。加熱処理そのものを指す場合もある。

マデイラは、ワインの醸造過程でアルコール(酒精)を添加して、アルコール度数を高めたフォーティファイドワイン。世界3大フォーティファイドワインの1つに数えられる。熱による酸化熟成から生まれた独特の風味を持つ。

現在、加熱処理にはクバ・デ・ガロールとカンテイロという2つの方法がある。
クバ・デ・ガロールは、ワインの樽に温水の入ったパイプを通す方法。エストゥファと呼ばれる湯が循環する過熱容器にワインを移し、35〜50度で最低3か月間加熱する。主に日常消費用のマデイラに使われる。この方法を、エストゥファと呼ぶ場合もある。

ワイン用語 エステル

エステル (ester) とは、アルコールと酸が結合してできる物質のこと。ワインの香りに影響を与えるため、ワインにとって重要な物質といえる。

ワインの中には、160種類以上のエステルが存在すると言われているが、生成過程から3種類に分類できる。まず、ごく微量ながら、ぶどうそのものに存在しているエステル。次にワインの発酵過程で生成される中性エステル。そして、熟成過程で生成される酸性エステル。

ぶどうに存在するエステルは、主にメチルアンスルアニレート。中性エステルは、ワイン発酵過程の酵素反応によって生成される物質。主に酢酸エステルやブチルエステルが生成される。酸性エステルは、pHが低い状態の下、酸とアルコールの化学反応がゆっくりとおこる、ワイン熟成過程で生成される物質。主に酒石酸エステルやリンゴ酸エステルが生成される。