フランス料理店などでは、ワインを飲むとき、グラスをクルクル回す人を見かけます。このグラス回しには、ちゃんとした意味があります。
グラスをクルクル回すと、ワインが空気と触れ合うことで酸化が進み、よりこなれた味になるのです。
ただし、このワインのグラス回し、フランスでは、高級店になればなるほど見かけることが少なくなるといいます。良質のワインなら、空気と触れ合わせる必要はなく、テイスティングのとき、ワインの色を見るために2、3回まわす程度でいいそうです。
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ワイングラスの脚はなぜ長い?
ワイングラスの特徴は、脚が長いこと。グラスを持ったときの手の温度が、ワインに伝わるのを防ぐためです。
もともとワインは、ガブガブ飲むものではなく、時間をかけて色や香り、味を楽しむ飲み物。しかし、時間をかけて飲めば、10℃が飲みごろといわれる白ワインの場合、しだいに温度が上がってきます。そこで、手の温度が伝わって温度が上がるのを防ぐため、グラスの脚を長くしたのです。
したがって、ワイングラスは、親指と人差し指で脚の一番上をつまみ、小指で脚の下の台を上から押さえるのが、正しい持ち方とされています。
また、ワイングラスに、チューリップ型をしたものが多いのは、出口を小さくして、グラスの空間内にたまった香りをゆっくり楽しむためです。
シャンパーニュの雑学
シャンパーニュの瓶は、上部がホイルの様なもので巻かれています。一本一本瓶の中で発酵させるシャンパーニュ。醸造する中で滓(おり)を泡の力を使い噴射させ、取り除く行程があります。その際、どうしても一本一本の量に差が出てしまうのです。それを隠しているのがあのホイル。ただの飾りのようにも思えますが、ちゃんとした役割があるのです。
ちなみに、シャンパーニュとはフランスのシャンパーニュ地方で造られているもの。その他の地域のものはスパークリングワインと呼びます。
スクリューキャップ
オーストラリア産やニュージーランド産でよく見られるスクリューキャップ(ペットボトルのキャップの形状のもの)。その魅力は低コストだけに限りません。酸化防止はもちろん、通常はコルクを通して空気の侵入を防ぐためにボトルを横に寝かせて保存しますが、スクリューキャップだと密閉されるために立てて保存できます。
コルクにするかスクリューキャップにするかは生産者の好みです。スクリューキャップよりコルクの方が美味しそう、という概念は捨ててしまいましょう!
ワイングラスの持ち方
ワイングラスをかの昭和の大スターの如く、ブランデーグラスのように持つのは避けましょう。ワインはその品種ごとに適した温度があります。ブランデーグラスのように手のひらで持ってしまうと、せっかく適した温度で提供されたワインが温まってしまいます。指先で柄の部分を持つと、見た目もエレガントですよ。
ワインの飲む順番は
基本的には軽いものから重いものへという流れがあります。例えば、すっきりとした白からコクのある白、軽やかな赤から重みのある赤へ…。重いものを飲んだあとに軽いものを飲んでも、舌が繊細な味わいを感じ取りにくくなる為です。また、コース料理が白から赤に合うような流れになっていることも要因の一つです。
また、何を飲めばいいのかも迷うところですよね。ワインの生産国、品種、造り手の数は膨大です。把握していなくて当然です。レストランなどで何を飲めばいいかわからない時は、「この料理に合ってすっきりと飲みやすいもの」など、簡単に自分の要望を伝えつつ素直に店員さんに聞きましょう。
毎月20日はワインの日
毎月20日はワインの日だという事をご存知でしたか。今から20年以上も前、1994年に日本ソムリエ協会が制定しました。ラテン語のVinumから派生してフランス語ではワインをVinと言います。Vinと数字の20の発音が似ている事から毎月20日をワインの日としました。レストランやBARではグラスワインやボトルワインがリーズナブルに頂けたり、この日限定のワインが楽しめたり、ワインショップではワインの日にちなんで割引などの特典があったりします。それ以外に制定されている、世界のワインの日を見ていきましょう。
ワインと料理の組み合わせ
①味わいで合わせる
最も基本のマリアージュのルールです。あっさりとした味付けのものにはあっさりしたワインを、コクのある味付けのもにはコクのあるワインを合わせます。
魚に白ワイン、肉に赤ワインのように食材で合わせたくもなりますが、それ以上に重要なのは調味料やソースです。例えば、レモンを絞って食べるような鶏の唐揚げは白ワインとも合います。魚の煮付けなどは、醤油やみりんが効いているため、赤ワインとも合うのです。
②産地で合わせる
ワインは郷土色が強い飲み物でもあります。もともと食文化と密接に関わっているので、郷土の料理には郷土の料理が合います。
例えば、アルザス地方のシュークルートにはアルザスの白ワイン。牛肉の赤ワイン煮込みには、ブルゴーニュの赤ワイン。ブイヤベースにはプロヴァンスのロゼワインなどです。
③品格で合わせる
ワインと料理のバランスは非常に重要です。例えば、キャビアやフォアグラ、オマールエビなどの高級食材には高級なワインを組み合わせます。簡単なおつまみで飲む程度なら、カジュアルなワインの方がバランスが良いです。
マリアージュはお互いの良さを相乗効果で引き出すもの。どちらか一方が突出していると、反対にお互いの欠点が見えてしまいます。
ワインのテイスティング
①外観を確認する
手前から奥へ軽くグラスを傾けるようにして、外観を確認します。ワインの色や輝き、アルコールの粘性などを確認します。
ワインの外観には多くの情報が含まれています。慣れてくると、外観を確認するだけで、使用しているブドウ品種や熟成の度合い、醸造方法の違いなどが大凡の見当が付くようになります。
②香りを確認する
グラスに鼻を近づけ、香りを確認します。一度香りを確認したら、今度はグラスを軽く回してよく空気に触れさせた後に、もう一度香りを確認します。
香りはワインにおいて最も重要な要素です。花の香り、果実の香り、ハーブ、スパイス、木や土、鉱物、動物など、様々な要素があります。香りがワインの印象を決定づけます。空気にふれさせることで、香りが開きやすくなります。
③味を確認する。
少量のワインを口の中に含み、ストローをすするようにして空気を吸い込みます。口の中では、舌の中央から両サイド、前歯の部分まで液体をまんべんなく転がし、口全体を使ってワインの味を確認します。液体を飲み込んだら鼻から抜けてくる香りの余韻も確認します。
ワインの味わいは、甘み、酸味、苦味、タンニンなど、様々な要素から構成されます。口の中では、それぞれの味覚を感じる部分が異なるため、ワインは直ぐに飲み込まずに口の中全体で確認しましょう。特に赤ワインのタンニンは他のお酒にはない重要な要素で、前歯付近に張り付く粒子を確認しましょう。
ワインのテイスティングは決して難しい事ではありません。まずはできるだけ多くのワインと触れ合い、3つのステップに従って、直感的にワインを確認していきます。それらをノートなどに書きとめながら知識を補っていくことで、ブドウ品種や産地、醸造方法や熟成方法による味わいの違いなどが整理されていきます。
ワインを飲む際に知っておきたいマナー
①グラスの足を持つ
ワイングラスは必ず長い足の部分を持ちます。グラスのボウルの部分を持ってしまうと、手の温もりがワインに伝わって温度が上昇してしまうためです。グラスをわしづかみするのは、見た目にもあまり上品ではありません。ぜひグラスの長い足を指3本程度軽やかに持ちましょう。
②乾杯は控えめに
ワインの場合、乾杯は控えめにしましょう。高級なワイングラスは口当たりを良くするためにガラスが薄く作られています。もし勢い余ってグラスを合わせると、グラスが割れてしまう恐れがあります。ワインの場合はソッと乾杯する程度か、グラスを合わす事をせず目線の高さに持ち上げるだけにしましょう。
③注いでもらう・注いであげる
ソムリエがいるようなレストランでは、サービスはソムリエにお任せで大丈夫です。グラスのワインが少なくなれば、ソムリエが気を利かせて注いでくれるでしょう。カジュアルなお店やホームパーティーなどでは、なるべく男性が女性に注いであげるように心がけます。その際は、グラスにワインを注ぎ過ぎないように気をつけましょう。グラスの周囲が一番大きい部分より僅かに下程度が目安です。
④注いでもらう時はグラスは持ち上げない
日本酒やビールと異なり、ワインを注いでもらう時はグラスを持ち上げてはいけません。目測を誤ってこぼしてしまったり、グラスと瓶が接触してグラスが破損してしまう恐れがあります。ワインを注いでもらう時は、グラスをジッ見つめて最後に会釈をするか、軽く手を添えるだけで大丈夫です。
⑤飲みやすいと言わない
ワインを飲んだ際に「飲みやすい」という言葉を使わないようにしましょう。「飲みやすい」という言葉は、捉え方によっては「物足りないワイン」と聞こえてしまいます。料理に対し「食べやすい」とコメントしたら失礼に聞こえてしまうのと同様です。ワインの場合も無理にコメントする必要はありませんので、「美味しい」や「香りがよい」などと言いましょう。たったそれだけでも、ワインを選んでくれたパートナーや、ソムリエさんも喜んでくれるはずです。