ワインと料理の組み合わせ

①味わいで合わせる
最も基本のマリアージュのルールです。あっさりとした味付けのものにはあっさりしたワインを、コクのある味付けのもにはコクのあるワインを合わせます。

魚に白ワイン、肉に赤ワインのように食材で合わせたくもなりますが、それ以上に重要なのは調味料やソースです。例えば、レモンを絞って食べるような鶏の唐揚げは白ワインとも合います。魚の煮付けなどは、醤油やみりんが効いているため、赤ワインとも合うのです。

②産地で合わせる
ワインは郷土色が強い飲み物でもあります。もともと食文化と密接に関わっているので、郷土の料理には郷土の料理が合います。

例えば、アルザス地方のシュークルートにはアルザスの白ワイン。牛肉の赤ワイン煮込みには、ブルゴーニュの赤ワイン。ブイヤベースにはプロヴァンスのロゼワインなどです。

③品格で合わせる
ワインと料理のバランスは非常に重要です。例えば、キャビアやフォアグラ、オマールエビなどの高級食材には高級なワインを組み合わせます。簡単なおつまみで飲む程度なら、カジュアルなワインの方がバランスが良いです。

マリアージュはお互いの良さを相乗効果で引き出すもの。どちらか一方が突出していると、反対にお互いの欠点が見えてしまいます。

ワインのテイスティング

①外観を確認する
手前から奥へ軽くグラスを傾けるようにして、外観を確認します。ワインの色や輝き、アルコールの粘性などを確認します。

ワインの外観には多くの情報が含まれています。慣れてくると、外観を確認するだけで、使用しているブドウ品種や熟成の度合い、醸造方法の違いなどが大凡の見当が付くようになります。

②香りを確認する
グラスに鼻を近づけ、香りを確認します。一度香りを確認したら、今度はグラスを軽く回してよく空気に触れさせた後に、もう一度香りを確認します。

香りはワインにおいて最も重要な要素です。花の香り、果実の香り、ハーブ、スパイス、木や土、鉱物、動物など、様々な要素があります。香りがワインの印象を決定づけます。空気にふれさせることで、香りが開きやすくなります。

③味を確認する。
少量のワインを口の中に含み、ストローをすするようにして空気を吸い込みます。口の中では、舌の中央から両サイド、前歯の部分まで液体をまんべんなく転がし、口全体を使ってワインの味を確認します。液体を飲み込んだら鼻から抜けてくる香りの余韻も確認します。

ワインの味わいは、甘み、酸味、苦味、タンニンなど、様々な要素から構成されます。口の中では、それぞれの味覚を感じる部分が異なるため、ワインは直ぐに飲み込まずに口の中全体で確認しましょう。特に赤ワインのタンニンは他のお酒にはない重要な要素で、前歯付近に張り付く粒子を確認しましょう。

ワインのテイスティングは決して難しい事ではありません。まずはできるだけ多くのワインと触れ合い、3つのステップに従って、直感的にワインを確認していきます。それらをノートなどに書きとめながら知識を補っていくことで、ブドウ品種や産地、醸造方法や熟成方法による味わいの違いなどが整理されていきます。

ワインを飲む際に知っておきたいマナー

①グラスの足を持つ
ワイングラスは必ず長い足の部分を持ちます。グラスのボウルの部分を持ってしまうと、手の温もりがワインに伝わって温度が上昇してしまうためです。グラスをわしづかみするのは、見た目にもあまり上品ではありません。ぜひグラスの長い足を指3本程度軽やかに持ちましょう。

 

②乾杯は控えめに
ワインの場合、乾杯は控えめにしましょう。高級なワイングラスは口当たりを良くするためにガラスが薄く作られています。もし勢い余ってグラスを合わせると、グラスが割れてしまう恐れがあります。ワインの場合はソッと乾杯する程度か、グラスを合わす事をせず目線の高さに持ち上げるだけにしましょう。

③注いでもらう・注いであげる
ソムリエがいるようなレストランでは、サービスはソムリエにお任せで大丈夫です。グラスのワインが少なくなれば、ソムリエが気を利かせて注いでくれるでしょう。カジュアルなお店やホームパーティーなどでは、なるべく男性が女性に注いであげるように心がけます。その際は、グラスにワインを注ぎ過ぎないように気をつけましょう。グラスの周囲が一番大きい部分より僅かに下程度が目安です。

④注いでもらう時はグラスは持ち上げない
日本酒やビールと異なり、ワインを注いでもらう時はグラスを持ち上げてはいけません。目測を誤ってこぼしてしまったり、グラスと瓶が接触してグラスが破損してしまう恐れがあります。ワインを注いでもらう時は、グラスをジッ見つめて最後に会釈をするか、軽く手を添えるだけで大丈夫です。

⑤飲みやすいと言わない
ワインを飲んだ際に「飲みやすい」という言葉を使わないようにしましょう。「飲みやすい」という言葉は、捉え方によっては「物足りないワイン」と聞こえてしまいます。料理に対し「食べやすい」とコメントしたら失礼に聞こえてしまうのと同様です。ワインの場合も無理にコメントする必要はありませんので、「美味しい」や「香りがよい」などと言いましょう。たったそれだけでも、ワインを選んでくれたパートナーや、ソムリエさんも喜んでくれるはずです。

ワインをエレガントに飲むためのポイント

①柔らかくグラスを持つ

グラスを持つ手はソフトに。グラスの長い足の部分を軽やかに持つだけで、扱い慣れていると分かります。グラスの淵を持つ人は相当使い慣れている感があります。

②飲む前に香りを確認する
飲む前に必ず香りを確認しましょう。ワインは香りと一緒に楽しむ飲み物です。香りを確認する仕草をするだけでワインの楽しみ方を知っていると見て取れます。

③軽くグラスを回す
ワインの香りは空気と接触することでドンドン変化します。グラスを軽く回して、中の液体を空気と馴染ませてあげましょう。この所作が加わると「ワインを嗜んでいる」ことがハッキリわかります。

④目をつむって飲む
ワインは香りと一緒に飲み込みます。その際、目をつむって飲みましょう。途端にエレガントな印象になります。

⑤ゆっくり飲む
スパークリングワインを含め、ワインは喉を潤すように飲んではいけません。ワインはグラスに注いでから時間の経過と変化も楽しめます。ゆっくり、一口づつ、香りと味を確認しながら、その変化を楽しみましょう。

ワインの4つの分類

スティルワイン
最も一般的な、泡立ちのないワイン。ブドウ原料や製造工程によって、「赤ワイン」「白ワイン」「ロゼワイン」のように分けられます。

スパークリングワイン
発泡性のワイン。アルコール発酵の際に発生する二酸化炭素をワインの中に閉じ込めることによって造ります。フランスのシャンパーニュ地方で造る「シャンパーニュ(またはシャンパン)」が有名です。スパークリングワインにも使用するブドウ原料の違いで「赤・白・ロゼ」(シャンパンは白・ロゼのみ)があります。

酒精強化ワイン(フォーティファイトワイン)
ブドウの発酵の途中でブランデーなどの蒸留酒を加えて、意図的にアルコール成分を高めたものです。元々は酸化しやすいワインの保存を高めるために造られていたと言われます。アルコールを添加するタイミングで甘口と辛口があり、スペインの「シェリー」やポルトガルの「ポート」や「マデイラ」がこれに該当します。

フレーヴァードワイン
ワインに薬草や果物などを加えて風味付けしたものです。イタリアの「ヴェルモット」や、スペインの「サングリア」がこれに該当します。

日本の酒税法における分類

ワインは日本の酒税法において、醸造酒の中でも「果実酒」のカテゴリーに含まれます。ヨーロッパ諸国においてはワインは「ブドウを原料としたもの」の決まりがありますが、日本では厳密なワインの法律が整備されていません。

そのためブドウ以外の果物を使った物でもワインと呼ぶことができますが、一般的にワインと言えば、やはりブドウを原料とした醸造酒と考えて間違いないでしょう。

ワインの造り方による分類

お酒の造り方の分類においては、ワインは醸造酒に該当します。

醸造酒
アルコール発酵は、お酒の原料となる穀物や果物の糖分に酵母が反応し、アルコールと二酸化炭素を発生する作用です。このようにして造るのが醸造酒で、ワインや日本酒などがこれに該当します。

日本酒などの穀物が原料の醸造酒は最初に「糖化」という製造工程が必要なのに対し、ワインはブドウ果汁に含まれる糖分が果皮に付着している酵母と反応し、ほとんど自然にアルコール発酵が起こります。ワインは醸造酒の中でも、特にシンプルなお酒でもあります。

醸造酒以外のお酒
蒸留酒
醸造酒に熱を加えるなどして純度の高いアルコールを抽出して造るお酒です。穀物を使ったものでは「焼酎」、ブドウを使ったものでは「ブランデー」が代表的です。
混成酒
醸造酒や蒸留酒に風味付けしたもので、リキュールなどがこれに該当します。

ワインの生産は、寒冷地向き

世界中のどのワイン産地でも、白ワインは必ず造られていますが
どちらかというと、涼しい気候の産地ほど白ワインの生産が盛んです。

寒冷地で育てられたブドウは熟度が低くなり
白ワインにせよ赤ワインにせよ、酸っぱく軽いものになりがちです。

白ワインは酸味が強くても「個性」として肯定的に捉えられますが
赤ワインの場合、味わいのバランスが崩れてしまい否定的に捉えられます。

また、寒冷地では赤ワイン用の黒ブドウが十分に色づかないため
一般に色の薄い赤ワインしかできません。
だから、必然的に白ワインの生産比率が高くなるのです。

白ワインの生産が盛んな冷涼地といえば、
フランス北部のロワール、シャンパーニュ、アルザス、ブルゴーニュや
ドイツ、ニュージーランドなどが上げられます。
こうした産地では、軽く酸味の強い白ワインが主流です。

一方温暖な産地のワインは、果実味、アルコール、
ボディのしっかりしたスタイルとなり、酸味は中庸から控えめです。
こうした産地は、白ワインもありますが、主に赤ワインを造っていることが多いです。

白ワインの基礎知 識軽くシンプルなテイストが多い

その他白ワインの特長としては、
比較的ボディの軽い物、風味のシンプルなものが多いです。

これも、果汁だけを原料として造ることに由来しています。
白ワインに魚介類を合わせることが多いのは、
軽いワインやシンプルな味わいのワインほど、さっぱりとした軽い食材とマッチするからです。

また、白ワインは比較的低めの温度できりっと冷やした方が、
おいしく感じられることが多いですが、これも軽くシンプルなワインならではの特長です。

白ワインの基礎知識白ワインのベースは「酸味」

ワインの味において、ベースとなるのは「酸味」と「渋み」です。
でも、果汁だけを使う白ワインには、渋みはあまり含まれていません。

ですので、白ワインの味わいにおいては、酸味が最も重要な要素となります。
白ワインにもさまざまなタイプがありますが、
大雑把に言う、とすっぱいものとそうでないものに分かれます。

ワインの酸味は、産地の気候や品種などに影響を受けています。